初期地球では大気海洋中の二酸化炭素濃度が現在に比べて数倍以上高かったとする地質証拠やモデル計算結果があり、本研究では高二酸化炭素濃度下で白馬の蛇紋岩が水素・メタンを発生させるかを検証する実験を行った。特に白馬の温泉水には他地域よりも高濃度のメタン含まれ、メタンは初期生態系における有機分子合成にも重要であると考えられている。白馬の温泉水に含まれるメタンの炭素源は明らかになっていないが、添加した二酸化炭素がメタンの炭素源になるかも検証する。実験で発生した水素量は現在の白馬の温泉水に比べて、温度の違いを考慮しても濃度が低い。マグネサイトに鉄が取り込まれ、水素発生に必要な溶存鉄が少なかったために水素ひいてはメタン発生も抑えられたと考えられる。初期地球の高濃度二酸化炭素は有機分子合成の炭素源というより、水素・メタン発生を抑える方に作用する可能性がある。