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硫酸エアロゾルは、二酸化硫黄(SO2)の大気中での酸化反応を経て形成され(Pilinis and Seinfeld, 2006)、地球の放射強制力をはじめ地球表層環境に様々影響を及ぼす(IPCC, 2013)。しかし、その挙動は化学種や粒径分布に依存するため、実大気における硫酸化学種を直接的かつ定量的に明らかすることが重要である。本研究では、近年全球でのSO2排出量において大きな割合を占める東アジア域(Streets et al., 2003; Crippa et al., 2016)において、エアロゾル中の硫酸塩化学種および微量元素の濃度から、硫酸エアロゾルの輸送・反応過程を詳細に明らかにすることを目的とした。試料は能登大気観測スーパーサイトにて粒径を7分画して採取した。XAFS分析と後方流跡線解析の結果、エアロゾル中の硫酸塩化学種は、アジア大陸由来物質の影響により異なることが示唆された。