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2011年3月に発生した福島第一原子力発電所事故によって、放射性セシウムが北太平洋に沈着・流出した。日本近海に沈着・流出した放射性セシウムは北太平洋の中緯度を表面海流に乗って東に運ばれ、2015年には北米大陸の西海岸に到達した。演者らは2017年夏季に北太平洋亜寒帯域において海水試料を採取し、放射性セシウム濃度を測定した。東部北太平洋のアラスカ湾を横断する東西及び南北の2本の観測線に沿った鉛直断面図によると、北米大陸沿岸により近い、北側及び東側の観測点の表層において放射性セシウムの濃度が高くなっていた(最高で6 Bq m-3)。これは2015年までに北米大陸に到達した放射性セシウムが北米大陸に沿って北上し、さらに北太平洋の北緯50-60度を西向きに運ばれていることを示唆している。今後数年以内に事故起源放射性セシウムは、北太平洋亜寒帯循環流に沿って日本近海に回帰してくることが予測された。