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西部北太平洋の上層部には中層水やモード水等の主要な水塊が発達している。これらの水塊は大気中二酸化炭素の海洋内部への輸送や,大気海洋間の熱交換の観点で注目されている。海洋における微量元素は様々な物質循環過程を鋭敏に反映した鉛直分布を示し,超微量元素であるビスマス(Bi)は海洋における滞留時間が20年程度と短いため,比較的短い時間スケールで起こる海洋物質循環の重要なトレーサーとして期待できる。溶存態Biは上記の水塊の化学指標となる可能性がこれまでの研究結果から示唆されてきた。そこで本研究では,2017年に新たに採取した海水を分析し,西部北太平洋における溶存態Biとこれら水塊との関係を調べることを目的とした。