本研究では4つのユークライトについて鉛及びアルゴン年代学を実施し,ベスタの熱史を制約した.Agoultは再結晶化しており,その酸化物鉱物と輝石はそれぞれ45.33億年と45.25億年の鉛年代を示し,斜長石は45.0億年前のアルゴン年代を示した.これらの結果から冷却率10 ˚C/Maが得られ,埋没変成作用を被ったことが明らかになった.また,部分的に再平衡化したDaG 380がAgoultと一致する輝石鉛年代を示すことから,この変成作用は地殻の浅部にも影響を及ぼしたと推測される.再平衡化した角礫岩Camel Dongaは,Agoultより0.2億年若い鉛年代を与え,熱変成作用時期が二つの隕石の起源地域で異なることを示す.さらに,Camel Dongaのアルゴン年代37.5億年から,大規模な衝突イベントの時期が制約された.NWA049は再平衡化していない,交代作用を被った角礫岩で,~44億年前の輝石鉛年代を示し,その当時に交代作用が地殻最浅部で起きたと推察される.