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本研究では、斜長石のSr同位体と微量元素の局所分析を用いて、花崗岩質マグマ進化の解明を試みた。従来の全岩分析に加え、レーザーアブレーション–多重検出器誘導結合プラズマ質量分析計を用いた。研究試料は愛知県の武節花崗岩7試料を用い、4試料の中から斜長石30粒子のコアとリムの計60点の分析を行った。斜長石リム部分は岩石試料内の全ての分析粒子で均質なSr同位体組成を示すのに対し、コア部分は87Sr/86Sr~0.7136から~0.7079まで様々な値を示した。また、リムのSr濃度とAn成分は負のトレンドを示すのに対して、コアでは相関が見られない。よって、コアは一連の結晶分別プロセスを経たメルトを起源としない。以上から、コアに記録される同位体組成を持つソースや混入物質がマグマ過程に関与した後、分化に伴い同位体組成が均質化されたことが明らかになった。