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完新世は気候的に安定した時代と考えられてきたが、近年Bond et al. (1997)を始めとした研究により、完新世にも周期的な気候変動があったことが示されてきた。バイカル湖周辺はモンスーン気候により、冬期は乾燥した高気圧、夏期は湿潤な低気圧に覆われ、季節によってまったく異なった環境下に置かれる。この対象的な気候変動は、植生に大きな影響を与える可能性がある。現在と同様の気候メカニズムで、完新世におおきなモンスーン変動があったとすれば、バイカル湖上空は乾燥と湿潤の対極的な変動をしたと考えられ、それらの変動はバイカル湖周辺の植生に大きな影響を与えた可能性がある。そのためこの変動は、堆積物中の陸上植物のバイオマーカーであるリグニンフェノールなどに記録されていると期待される。本研究では、バイカル湖堆積物中に記録されたリグニンフェノールなどの有機物分析の結果から、完新世を含む後期第四紀の気候変動の解析結果を報告する。