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本研究では、国際深海科学掘削計画(IODP)の第359次航海にて得られた、断続的な黒色の堆積物中の有機物分析を行い、その構成と、どのような環境下で形成されたのかを明らかにすることを試みた。分析手法には、試料に水酸化テトラメチルアンモニウム (TMAH)熱化学分解法を用いた。その結果、堆積物中には、主な化合物としてリグニンフェノール、ステロール、およびホパノイド類が検出された。リグニンフェノールは、高有機物層で多く検出され、植物の繁茂できる浅瀬や陸域が周辺に広がっていたことを示唆している。また、真核生物に由来するステロールに対する原核生物に由来するホパノールの比から真核生物と原核生物の寄与率を見積もると、高い有機炭素濃度を示す下層(初期)においては原核生物の寄与が高かったことがわかった。したがって、高有機炭素層は植物以外にバクテリアなどの原核生物の寄与が高いことを示唆している。