C3・C4ヒドロキシアミノ酸は近年Murchison隕石中で同定された隕石アミノ酸の新たなグループである。本研究では、異なる岩石学・鉱物学的組成を示すCM・CRコンドライト中においてC3・C4ヒドロキシアミノ酸の構造異性体・鏡像異生体分布をガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて調査した。CR2, 3においてα-MethylserineがCM2と比べて顕著に豊富だったが、β-, γ-構造異性体はYamato 791198 (CM2) より少なかった.他のCM2と比べてYamato 791198では総存在量が10倍以上である一方で、構造異性体存在比に顕著な差はなかった.また、水質変成の度合いの増加に伴う総存在量の減少が観察された.これらの結果から、炭素質隕石中のC3・C4ヒドロキシアミノ酸は①アンモニア存在下におけるホルモース反応と②ストレッカー反応の2つの生成機構によって生成されうると考察した.さらに、それらの存在量や分布は隕石母天体環境における酸化還元状態を反映していると考えられる.