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長期的かつ安定した海洋環境のモニタリング手法として、汚染物質の生物濃縮を利用した生物モニタリングが提案されてきた。指標生物としてプランクトン、藻類、貝類、魚類等様々な生物が用いられてきたが、中でも二枚貝は、生息範囲が広域である点や、固着性、サンプリングの簡便性といった観点からモニタリングにおいて広く利用されてきた。本研究では、指標として二枚貝の一種であるマガキを用い、閉鎖性水域であるため汚染物質の滞留が懸念されている伊勢湾(新舞子)・三河湾(半田・豊川・汐川)を対象地域として環境モニタリングを行った。また、カキを組織ごと(外套膜、エラ、閉殻筋、内臓)に分け分析を行うことで、各組織の金属濃縮傾向を明らかにし、より高感度な指標としての有効性を評価した。