希ガスは化学的に不活性であり、その存在量比は物理的過程のみによって変動するため、火山噴気中の組成変動は比較的単純である。また、噴気中の3Heと40Ar*(40Arの大気Arからの過剰量)はほぼ全てマグマ起源であるため、噴気の3He/40Ar*の変動はマグマ起源He/Arの変動を直接反映する。2015年から継続的に白根山北側噴気群の希ガス・CO2の濃度・同位体組成の測定を行ったところ、2018年5月以降、3He/4Heと3He/CO2が上昇し、マグマ起源ガス(高3He/4He、高3He/CO2)の供給量が増加したことが示唆された。また、噴気中の3He/40Ar*は3He/4Heと連動して顕著に上昇した。マグマから脱ガスするHe/Arはマグマ発泡度の増加に伴い上昇することから、草津白根山噴気中の3He/40Ar*の上昇はマグマ発泡度の増加を示唆する。すなわち、噴気中の3He/40Ar*はマグマ活動の状態を評価する上で重要な指標となりうる。