2018年から2019年にかけて行われたはやぶさ2のリモセン探査により, リュウグウは揮発性成分に乏しく, 半乾き状態であることが明らかとなった. その揮発性成分の少なさを説明する有力仮説は3つあり, そのうちの1つは過去の天体衝突加熱によって揮発性成分を失ったとする「衝突乾燥説」である. 我々は以前リュウグウ模擬試料を用いた衝撃脱ガス実験とそれに対応する数値衝突計算を実施し, 衝撃脱ガス効率は低く, 小惑星帯における典型的な衝突速度程度の衝撃加熱ではリュウグウの乾きを説明することができないことを報告した. 今回はその実験結果を元に炭素質小惑星様物質の脱ガス機構を考察した.