主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2021年度日本地球化学会第68回年会講演要旨集
回次: 68
開催日: 2021/09/01 - 2021/09/15
p. 94-
182Hfの放射壊変に基づく182Wの同位体比変動を利用した年代測定法は、太陽系諸天体のコア形成時期の推定に利用されている。一方で、183Wにおいて質量に依存しない同位体分別(MIF)が報告されており、その原因は未だ明らかになっていない。そのため、タングステンの同位体分別機構を理解することは、182Hf-182W系を利用した研究において重要である。本研究では、今まで注目されてこなかった「同位体効果」の観点から182W同位体比変動について検討し、宇宙化学へ応用することを目的とした。 同位体効果の中でも、MIFの要因の1つである「核の体積効果」に着目した。これを議論する上で指標となる核の平均二乗半径の差<δr2>において、論文によって異なる値が報告されており、正確な<δr2>が不明である。そこで本研究では、実験的に核の体積効果によるMIFを見積もり、<δr2>に制約を与えることを試みた。