本研究では,南部チリ沖沿岸から採取された海洋堆積物コア(MR16-09, PC2, 13m長)を用いて,XRFコアスキャナー(ITRAX)により超高解像度元素組成変動を測定し,その陸源砕屑物組成変動から最終氷期における南半球の偏西風経路の緯度変動を復元した。その結果,最終氷期においてKとTiの含有量が南極の温暖/寒冷期に対応して千年スケールで周期的に大きく増減する特徴が見られ,偏西風帯の緯度変動に伴うコアサイト後背地の降雨量を反映すると解釈した。すなわち,最終氷期における千年スケールの南極の寒冷・温暖化に対応して,南半球偏西風軸の赤道側・極側シフトと,南極周回流の弱化・強化が同期して起こっていた可能性が示唆された。