主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2022年度日本地球化学会第69回年会講演要旨集
回次: 69
開催日: 2022/09/05 - 2022/09/16
p. 208-
太古代(40-25億年前)の地球環境は現在より温暖であったと推定されている.最近の理論研究では,生物進化による大気へのCH4供給フラックの変化に着目し,当時の生態系が温暖気候の形成に果たした役割について議論が行われている.しかし,物質循環や大気化学及び微生物代謝過程を包括的に考慮し,太古代の生物進化と気候状態の関係について議論した研究はほとんど存在しない.本研究では,新規の大気化学―微生物生態系―物質循環モデルを用い,太古代を通じた大気組成や地表面気温の時代変遷を調べた.その結果,生物進化によって大気中CH4濃度が大きく上昇することでケイ酸塩鉱物の風化作用が促進され,大気中CO2濃度の低下が生じると推定された.この炭素循環の応答は気候変化のバッファー作用として機能し,太古代を通じた地表面気温の変化は抑制される.嫌気性微生物生態系の進化が太古代の大気組成や気候状態に有意な影響を及ぼしていたことが示された.