これまでの低温蛇紋岩化反応の室内実験では、蛇紋岩化の程度が小さい新鮮なハルツバージャイトほど水素生成量が多いという結果を得られており、低結晶質なMg-シリケート (M-S-H)によって溶液のpHが低く緩衝され、初期鉱物の溶解が促進されることが示唆された。本研究では、これらの実験結果を再現する地球化学反応モデルを構築し、低温蛇紋岩化反応による水素生成に与える地球化学的要因を明らかすることを目的とした。かんらん石と輝石の溶解速度を考慮した化学反応モデリングでは、閉鎖系における水素生成実験で得られた水素生成量と比較的整合的であり、このことは、低温蛇紋岩化反応においてもかんらん石や輝石の溶解が水素を生成させる主要な化学反応であり、また律速となっていることが明らかとなった。