日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G6 宇宙化学:ダストから惑星、生命へ
星間起源のアミノ酸とその前駆体の小天体内部における安定性
*池田 伊吹癸生川 陽子小林 憲正依田 功
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p. 121-

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抄録

星間環境において、分子雲の氷微粒子は生命の原材料となりうる有機物の形成に適した場所の一つとして挙げられる。分子雲を構成する星間塵の核の周りに水や一酸化炭素などの分子が凍結したアイスマントルへ宇宙線などが照射することで、アミノ酸などが生成したと考えられる。先行研究から分子雲を模擬した実験では、高分子アミノ酸前駆体が非生物的に生成することが示された。分子雲で生成したアミノ酸前駆体は太陽系誕生時に始原的な小天体内部に取り込まれ、26Alの放射性崩壊によるガンマ線や熱の影響を受けた可能性がある。これらを考慮して、本研究ではアミノ酸と分子雲起源のアミノ酸前駆体のガンマ線に対する安定性を調べるための実験を行なった。結果として、分子雲由来の高分子アミノ酸前駆体は小天体内部を模擬した環境下でも、ガンマ線照射に対して遊離アミノ酸より安定的であることが確認された。

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