日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G7 素過程を対象とした地球化学
マンガン酸化に着目した地球微生物学的研究の重要性
*塚本 雄也
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p. 135-

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抄録

マンガンは、現在の地球表層環境で主にマンガン酸化物として存在する。これらのマンガン酸化物の形成は分子酸素を利用した生物的・非生物的反応による [1, 2]。このようなマンガンの性質から、マンガン酸化物は過去の酸化的環境の指標として用いられてきた。例えば、約24億年前の地層に存在する地球史上最大規模のマンガン鉱床は大酸化イベントの証拠として考えられている。しかしながら、大酸化イベント以前の極度に貧酸素だと考えられてきた年代を示す地層でもマンガン濃集層が存在しており、分子酸素の存在を示すのか議論がなされてきた。これまで貧酸素環境下での非生物的反応によるマンガン酸化プロセスはいくつかの提案がなされてきたものの、問題点が多く[3]、初期地球環境におけるマンガン酸化プロセスは未解明のままである。近年、約29-28億年前のマンガン濃集層に対する地質学的研究から当時の貧酸素環境下での生物的反応によるマンガン酸化が示唆された[4]。さらに、現生微生物群による嫌気的マンガン酸化が初めて報告され[5]、初期地球環境でのマンガン酸化プロセスとして期待されている。その後、好気性ではあるもののマンガン酸化によってエネルギーを得る微生物群も報告された[6]。このように、新たな生理代謝機能を有するマンガン酸化菌が報告されてきている。そして、初期地球環境におけるマンガン酸化プロセスを考える上で嫌気性もしくは微好気性のマンガン酸化菌は重要である可能性が高い。しかし、嫌気性マンガン酸化菌は先にあげた1例のみであり、微好気性マンガン酸化菌については報告例がない状況にある。そのため、初期地球環境におけるマンガン酸化に対する微生物の役割は十分に評価できていない。本発表では、海底熱水や陸上温泉という熱水環境での微生物活動によるマンガン酸化について地球化学・地球微生物学的観点から発表する。特に、熱水環境に産するマンガン酸化物に対するメタゲノム解析や微生物培養によって見えてきたマンガン酸化菌のユニークな生理代謝機構について紹介することで、初期地球環境における微生物によるマンガン酸化の妥当性について議論したい。

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