日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G7 素過程を対象とした地球化学
室内合成実験によるカルサイト・アラゴナイト中二価金属イオンの局所構造解析
*伊地知 雄太大野 剛高橋 嘉夫鍵 裕之
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p. 137-

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抄録

カルサイトは炭酸カルシウムの最も安定な結晶多形であるが、結晶生成時の溶液中にカルシウムイオンより小さなイオン半径の二価金属イオンが共存するとアラゴナイトが選択的に生成することが知られている。しかし不純物イオンがアラゴナイト生成にどう寄与するかは未だ解明されていない。その原因の一つとして、炭酸カルシウム結晶多形中不純物イオンの構造が明らかでないという点が挙げられる。本研究では各結晶多形中の二価金属イオンの構造を観察するためX線吸収微細構造(XAFS)解析を行った。 カルサイト中の二価金属イオンのEXAFSスペクトルは各イオンから約4 Åの位置にカルシウムの存在を示すEXAFS振動を示した。カルサイト中のカルシウム―カルシウム間の距離が4.05 Åであるため、添加金属イオンはカルシウムを同型置換していることを表している。一方でアラゴナイトに添加した金属のEXAFSスペクトルからは隣接する陽イオン席由来のカルシウムの存在が確認できなかった。カルシウムと比べると添加した金属のイオン半径は小さいため、九配位構造が不安定であり同型置換とならなかったと考えられる。

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