日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G9 地球化学のための最先端計測法の開発、および、境界領域への挑戦
中性子とミュオンを用いた元素分析法の最前線
*大澤 崇人
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p. 188-

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抄録

本講演では即発γ線分析とミュオン捕獲特性X線分析について、最近の技術的進展と応用について概説する。試料に中性子を放射すると、一部の原子核は中性子と核反応を起こし、即座にγ線を放射する。これを検出することで、非常に確度の高い非破壊元素分析が可能となる。本手法を使えば、水素やホウ素など、他の分析法で検出困難な元素を非破壊で定量できる。一方、ミュオンを用いた新しい元素分析の手法が開発されている。ミュオンが試料に照射されると、試料中のある深さで停止し、停止した際に原子に捕獲されてミュオン原子を形成する。ミュオン原子から放出される捕獲特性X線を検出することで、非破壊元素分析が可能となる。本手法では、炭素や酸素といった軽元素も分析が可能である。また加速器で作られたミュオンの運動量を制御すれば、試料中の元素の深度分布を得ることもできる。これらの分析法は小惑星リュウグウ試料の分析にも応用されている。

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