希土類元素は地球科学の分野では試料の指紋として重宝されているのにも関わらず食品中の希土類元素の分析は軽視されている。本研究では、札幌で購入した板海苔(日本各地での養殖海苔約80試料と韓国産の輸入物約20試料)中の重金属元素と希土類元素の分析を行った。日本産と韓国産の区別は、カドミウムとトリウムで、それぞれ約0.5 ppmと約3.3 ppmが閾値として利用できるが、日本内の産地の区別はできない。希土類元素の分析値のうち、ユウロピウムの異常値の範囲が後背地の地質の化学組成を反映して、韓国産、日本の海苔2大生産地の有明海と瀬戸内海との間で明解に分かれるので、産地特定に有用であることが判明した。食品の希土類元素の分析は産地特定の手法として有用であることを本研究は示唆している。