日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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S3 地球化学全般(地球化学の融合セッション)
青森県下北半島,恐山火山を構成する第四紀火山岩類のマグマ変遷
*丸山 哲弥折橋 裕二佐々木 実新正 裕尚淺原 良浩
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p. 226-

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抄録

青森県下北半島には恐山,於法岳(安住ほか,2020),むつ燧岳(梅田, 1992)および野平カルデラ(根本・箕浦, 1999)の4つの第四紀火山が存在し,その中で恐山は唯一,活火山である.山体はカルデラ湖である宇曽利湖とその周囲を囲む外輪山,カルデラ北岸の溶岩円頂丘群からなる(富樫,1977).本研究では恐山全域を網羅するように各活動ステージの火山岩を計130試料採取し,岩石記載および全岩の主・微量成分分析(ホウ素を含む)を行った.本報では小林・水上 (2012)の火山活動史に基づき,恐山のマグマ変遷史について若干の考察を行った.Ba/Nb vs B/Nb図において,恐山直下のマントルウェッジ(Depleted Mantle)に付加したスラブ由来流体成分はAOC (Altered oceanic crust)が主体である.Ba/Nb比を指標として見積もった恐山の火山活動史における流体量の変化は外輪山形成期において時代とともに組成幅と量が小さくなる傾向にあり,釜臥山で流体量は最小になる.しかし末期の屏風山では流体量が急激に上昇し,その後のカルデラ形成・溶岩ドーム群形成期では常に高い傾向を示した.この流体付加量の変遷の理由については現在,検討中である.

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