主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
回次: 70
開催日: 2023/09/14 - 2023/09/24
p. 227-
鉱床の形成年代は鉱床の成因解析において必要不可欠な基礎情報の一つであり、鉱床 と周辺地質構造との関係性の解明や新鉱床探索の手がかりに繋がる。以前より火成岩貫 入体や変質鉱物等への ⁴⁰K− ⁴⁰Ar 法や ⁸⁷Rb− ⁸⁷Sr 法による間接的な鉱床年代測定が行われているが、分析対象とする変質鉱物の選定が鉱床の年代値の信頼性に影響を及ぼす等の課題がある。近年は、鉱床の鉱石鉱物を対象とした直接的な年代測定法も試行されている。その一例として、各種金属鉱床に普遍的に付随する硫化鉱物の黄鉄鉱に対し、火成岩の年代決定やマグマ源推定に広く利用される⁸⁷Rb−⁸⁷Sr 放射壊変系を適用した直接的な鉱床年代測定がある。黄鉄鉱中のRb、Sr 含有量は極微量だが、その Rb/Sr 比は幅広い値を示すことから、精度の高い ⁸⁷Rb−⁸⁷Sr 年代値の獲得が期待されている。 本研究では、黄鉄鉱への⁸⁷Rb−⁸⁷Sr 法の適用範囲の拡大を目的として、微小サイズの黄鉄鉱の単結晶への⁸⁷Rb−⁸⁷Sr法の適用を試行し、黄鉄鉱試料の主要・微量元素の定量分析とSr同位体分析の結果から考察を行った。