厚い海成堆積層の深部には、地層堆積時に取り込まれた海水が埋没続成過程で変質した地下水(化石海水)が存在することがあり、このような場は地層の隆起を経ても天水浸透の影響を受けず、地下水流動が緩慢であると判断される。続成過程ではケイ酸塩からの脱水などにより間隙水の塩濃度の低下などの変化が生じる。しかしながら、鉱物からの脱水反応のみでは水質変化を定量的に説明できず、水質進化の過程が明らかではない。本研究では、埋没過程におけるケイ酸塩からの脱水反応および圧密による間隙水の上方移動を考慮した解析モデルを構築し、埋没過程で生じ得る間隙水の水質進化について検討した。その結果、オパールAから石英に至る脱水反応及び粘土鉱物からの脱水影響を強く受けた水質は、ボーリング調査による観測結果と近い値を示した。本解析結果は、地層の埋没続成過程において形成された化石海水が地層の隆起以降現在まで保持されている可能性を示唆するものであり、化石海水が存在する場の地下水流動が緩慢であることを支持するものである。