抄録
要約:われわれは2010年4月からの12か月間に6例の偶発性低体温症を経験した.年齢は74±17(50から95)歳で,その内5例は12月から2月のいわゆる冬季の発症であった.また全例が屋内発症であった.1例が1次性偶発性低体温症で5例が2次性偶発性低体温症であった.来院時の直腸温は31.2±2.0(28.3から33.1)°Cであった.4例で心電図上J波を認めた.全例で低体温に対し能動的体外復温を行った.体表温度が深部体温より高値であった症例があり診断に際し注意すべきと考えた.3例が死亡したが,低体温症が直接死因ではなく,基礎疾患(肝硬変,慢性閉塞性肺疾患,重症肺炎)による死亡であった.Body mass indexを生存例と死亡例で比較すると,生存例は22.4±0.46kg/m2で死亡例では12.07±1.85kg/m2と,死亡例で有意に(P = 0.015)低値であり,body mass indexは予後の指標になることが示唆された.