日本地球化学会年会要旨集
2023年度日本地球化学会第70回年会講演要旨集
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G3 海洋の地球化学
西部北太平洋における一次生産者の窒素同位体比地図
*吉川 知里重光 雅仁山本 彬友岡 顕大河内 直彦
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p. 44-

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抄録

近年、魚類の蓄積性組織の時系列窒素同位体比と窒素同位体比地図から、回遊経路の復元が行われている。先行研究で用いられた窒素同位体比地図は、時空間的にまばらな海洋観測の実測値から作成されていた。このため、地球化学的手法であるアイソロギングによる経路推定の精度は、不正確な地図がボトルネックとなって、バイオロギングに代表される水産学的手法に遠く及んでいないのが現状である。本研究では、海洋窒素同位体モデルを用いて一次生産者(植物プランクトン)の窒素同位体比地図を作成した。モデルによる植物プランクトンの年平均窒素同位体比は、窒素固定が起こっている亜熱帯海域(0.6‰)と鉄律速のため植物プランクトンの硝酸利用効率が低い亜寒帯海域(2.2‰)で低い値を示し、硝酸利用効率が高い黒潮親潮移行域(4.0‰)と不完全な硝化起こっているベーリング海峡付近(6.7‰)で高い値を示した。

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