抄録
高速道路や新幹線のような交通インフラ整備は、事業実施に伴う短期的なフロー効果のみならず、整備地域沿線に人口、企業等の各種都市機能を集積させ、沿線地域を成長させるストック効果がある。特に都市間を高速で接続する新幹線網の整備の波及効果は大きく、整備地域のみならず、我が国全体の経済発展を促す効果が考えられる。そのため、交通インフラ整備の有用性を判断するにあたっては、上記のような効果をきちんと評価する必要性がある。しかしながら応用一般均衡モデルとは異なる既往のマクロ経済モデルでは地域帰着量が推計できず、逆に一般均衡を想定した地域への帰着便益推計モデルでは、マクロ経済に及ぼす影響を考慮できなかった。そこで本研究では、新幹線等の都市間交通インフラ整備が国全体や地域に及ぼす影響を総合的に評価可能なモデルシステムの構築を既存のモデルの枠組みを活用しながら行った。その上で、構築したモデルシステムの挙動の検証を行い、有用性を確認した。