日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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G7 素過程を対象とした地球化学
マンガン酸化物の表面反応に起因するモリブデン同位体分別:異なる結晶構造の影響
*奥山 晃浩福士 圭介柏原 輝彦
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p. 165-

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抄録

海水中のモリブデン(Mo)同位体組成はマンガン(Mn)酸化物への吸着によって制御されているため、古海洋の酸化還元状態の議論に用いられている。海洋堆積物には生成条件に応じて結晶構造が異なるMn酸化物が存在するが、結晶構造の違いがMo同位体分別に与える影響は調査されていない。本研究では合成Mn酸化物(δ-MnO2、バーネサイト、トドロカイト)を用いて吸着によるMo同位体分別を測定し、結晶構造が同位体分別に与える影響について検討した。δ-MnO2とトドロカイトの吸着によるMo同位体分別は吸着率によらず一定の大きさを示し、先行研究で報告されたバーネサイトの結果と一致した。一方、バーネサイトでは初期Mo濃度が上昇し吸着率が低下すると、同位体分別が小さくなった。δ-MnO2とトドロカイトによる同位体分別はMoが内圏錯体として吸着したことで説明できるが (Kashiwabara et al. 2011,Tanaka et al. 2018)、バーネサイトでは吸着反応に加えて表面沈殿や重合反応によって固相に分配されたと考えられる。

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