主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
回次: 71
開催日: 2024/09/18 - 2024/09/20
p. 167-
硫黄同位体の非質量依存分別(同位体異常)は成層圏噴火時の硫酸エアロゾルおよび太古代堆積岩から発見されているが、その起源は未解明である。起源の推定には33Sと36S同位体異常の比Δ36S/Δ33Sが有用とされる。その理由は、Δ33S, Δ36S ≠ 0‰の同位体異常の硫黄種と、Δ33S = Δ36S = 0‰の通常の硫黄種の混合線がΔ33S-Δ36S座標系で直線になると期待されるためである。しかし、特に非線形の同位体異常の定義式を用いる場合、混合のΔ36S/Δ33S比は一定でないと予想される。本研究では、その定義依存性と2成分混合の挙動を数値解析しΔ36S/Δ33S比の堅牢性を調べた。Δ33SとΔ36S値の定義による差はδ34Sに依存し、特に|δ34S| > 34‰の場合、Δ36Sの定義依存は1‰以上になった。定義依存は、|δ34S|が小さいほとんどの天然試料では無視できるが、大きなδ34SのSO2光解離や元素硫黄の重合などの場合は注意が必要である。線形の定義式を使用すると、先行研究のSO2光解離実験の結果が現代の成層圏硫酸エアロゾルのΔ33S対Δ36Sの関係を再現した。