日本地球化学会年会要旨集
2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
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G8 地球深部から表層にわたる元素移動と地球の化学進化
液体鉄-ケイ酸塩メルト間における強親鉄元素の分配:高温高圧実験による分配係数の決定とレイトべニア仮説の再検討
*近藤 望芳野 極浅沼 尚桑原 秀治
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p. 189-

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抄録

強親鉄元素(Highly Siderophile Element, HSE)は白金族元素(Os, Ir, Ru, Rh, Pt, Pd)とRe、Auから構成され、ケイ酸塩相よりも鉄金属相へ大幅に分配される性質を持つために、核-マントル分離や核形成後のマントルの化学進化の重要なトレーサーとして重用されている。本研究では、液体鉄-ケイ酸塩メルト間におけるHSE分配挙動のHSE濃度・圧力依存性に着目し、HSE濃度の異なる試料について、6.0-23.3 GPaの圧力範囲で分配係数を決定した。結果、HSE濃度の高い試料では先行研究と整合的な分配係数が得られた一方、HSE濃度の低い試料では、HSEがよりケイ酸塩メルトに分配され、HSEそれぞれの分配係数は互いに似た値になることが判明した。本研究で新たに決定した分配係数を用いてマントルのHSE組成を計算すると、概ねコンドライト的なHSE相対比となり、HSE濃度については、先行研究の分配係数を使った場合よりも未分化上部マントルのHSE組成に近くなることがわかった。

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