主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2024年度日本地球化学会第71回年会講演要旨集
回次: 71
開催日: 2024/09/18 - 2024/09/20
p. 189-
強親鉄元素(Highly Siderophile Element, HSE)は白金族元素(Os, Ir, Ru, Rh, Pt, Pd)とRe、Auから構成され、ケイ酸塩相よりも鉄金属相へ大幅に分配される性質を持つために、核-マントル分離や核形成後のマントルの化学進化の重要なトレーサーとして重用されている。本研究では、液体鉄-ケイ酸塩メルト間におけるHSE分配挙動のHSE濃度・圧力依存性に着目し、HSE濃度の異なる試料について、6.0-23.3 GPaの圧力範囲で分配係数を決定した。結果、HSE濃度の高い試料では先行研究と整合的な分配係数が得られた一方、HSE濃度の低い試料では、HSEがよりケイ酸塩メルトに分配され、HSEそれぞれの分配係数は互いに似た値になることが判明した。本研究で新たに決定した分配係数を用いてマントルのHSE組成を計算すると、概ねコンドライト的なHSE相対比となり、HSE濃度については、先行研究の分配係数を使った場合よりも未分化上部マントルのHSE組成に近くなることがわかった。