地球外核酸塩基は、太陽系内での化学進化や初期地球における遺伝機能形成への寄与の可能性から注目されてきた。我々はRyugu試料からウラシルを検出したが、試料量の制約で他の塩基は確認できなかった。その後の分析法改良によりMurchison隕石から従来の10倍以上の塩基を検出し、さらにBennu試料ではU、C、T、A、Gの全5種を同定した。本研究ではRyugu試料A0480、C0370とOrgueil隕石を対象に高速液体クロマトグラフィー高分解能質量分析(HPLC/HRMS)およびキャピラリー電気泳動高分解能質量分析(CE/HRMS)を用いて分析し、Ryuguからも全5種の核酸塩基を検出した。これにより、核酸塩基が太陽系形成期に広く存在していた可能性を示し、その前生物学的重要性を裏付けた。試料間の分布の差異を比較し、生成経路についても考察する。