主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2025年度日本地球化学会第72回年会講演要旨集
回次: 72
開催日: 2025/09/07 - 2025/09/19
p. 170-
ホモキラリティーの起源は依然として未解決の問題であり、これまでに円偏光紫外線による選択的分解や鉱物表面での選択的吸着など、さまざまな仮説が提案されてきた。しかし、L体がわずかに過剰な状態から、生命に見られるような完全なL体優位へと至るプロセスは、いまだ明らかにされていない。本研究では、L-アラニン(エナンチオマー)とDL-アラニン(ラセミ体)の溶解度を高圧下で測定し、L-アラニンの方が圧力の増加に伴ってより溶解しやすくなることを見出した。さらに、L:D比を変化させた混合溶液を加圧したところ、DL-アラニンが先に結晶化し、過剰なL-アラニン分子が液相中に残留する現象が観察された。これらの結果は、高圧環境下におけるエナンチオマーとラセミ体の溶解度差に起因して、L体が液相に選択的に濃縮されるメカニズムを示しており、ホモキラリティー形成に寄与しうる新たな非生物的ロセスを提案するものである。