日本地球化学会年会要旨集
2025年度日本地球化学会第72回年会講演要旨集
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G8 地球深部から表層にわたる元素移動と地球の化学進化
「下部マントル鉱物の酸窒化物化」から拓かれる窒素の地球超深部物質科学
*福山 鴻鍵 裕之入舩 徹男井上 紗綾子新名 亨高畑 直人井上 裕貴山本 順司Villeneuve JohanFüri Evelyn
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p. 186-

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抄録

窒素は地球表層で主要な軽元素であるが、地球全体では水や炭素に比べて極端に枯渇していることが報告されている (Marty et al., 2012)。この窒素が枯渇して見える原因として、N2とArの相関に基づく窒素存在量の見積もり方法では、下部マントル (地下深さ: 660 km~2900 km)の窒素総量を過小評価してしまうことが挙げられる。なぜなら、還元的な下部マントルにおいて、窒素はN2ではなくNH4+やN3−として存在することが天然試料分析から分かっているためである (Rudloff-Grund et al., 2016; Kaminsky and Wirth, 2017)。以上の背景から、“missing” nitrogenを解決すべく、下部マントルに存在する鉱物への窒素取り込みに関する実験研究が行われてきた (Yoshioka et al., 2018; Fukuyama et al., 2023; Rustioni et al., 2024)。しかし、下部マントルに相当する超高圧と高温に加えて還元条件を再現することは極めて困難であり、論文報告が限られている (Fukuyama et al., 2020; Fukuyama et al., 2023)。そして、“missing” nitrogenを解決できるほど窒素を取り込める下部マントル鉱物は未だ論文報告がない。しかし、近年の筆者らの研究から、N3−を結晶構造中に多く取り込むことによって、“missing” nitrogenを解決できる鉱物を突き止めつつある。本発表では、未解明の部分が多い地球深部の窒素の振る舞いについて、固体化学や材料科学の観点も交えつつレビューを行い、地球深部における窒素の最大貯蔵量や近年明らかになりつつある知見について紹介する。

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