日本地球化学会年会要旨集
2025年度日本地球化学会第72回年会講演要旨集
会議情報

G9 地球化学の最先端計測法の開発と挑戦
Dual syringe-APCI-Orbitrap MSを用いた多環芳香族炭化水素の同位体分子計測
*金 範植上野 雄一郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 217-

詳細
抄録

多環芳香族炭化水素(PAH)は、大気、海洋、土壌、化石燃料、堆積有機物、地球外物質などに広く分布し、安定同位体を用いたPAHの起源推定は地球化学的に重要な意味を持つ。本研究ではDual syringe-APCI-Orbitrapを用いたPAHの高精度同位体分子計測法を開発した。分析条件の最適化した後、異なる制作元から入手した5種類のPAH、ナフタレン(C10H8)、フェナントレン(C14H10)、アントラセン(C14H10)、フロランタン(C16H10)、ピレン(C16H10)を対象に交互分析を行った。また、溶液条件の差により生じる効果を調べるため、HPLCでの精製により二溶液の条件を揃える工程を加えた検証分析を行った。分析の結果、精製前では二試料間の多重置換度に大きな差が見られたが、精製後にその差がいずれも0に近づいた。また、70nmolのPAH試料から、δ13x1C < 0.13、Δ13x2C < 0.31、Δ13x3C < 0.84、Δ13x3*C < 0.82の高精度分析が実現できた。本研究で開発した微量・高精度同位体分子計測法は多様なPAHの起源を推定するための新たな同位体指標として活用できる可能性がある。

著者関連情報
© 2025 日本地球化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top