海水中の微量元素とはその濃度が1mg/L以下で存在する元素とされ、これら微量元素の多くは生物の機能を維持するために必須のものもある。また微量必須元素の多くは生体内において酵素の活性中心として働くことが知られており、例えばセレンはグルタチオンペルオキシダーゼの活性中心元素である。これら微量必須元素の海水中濃度は塩素やナトリウムなどの主要成分とは異なり、世界の海洋で大きく異なっており、さらに水深によっても濃度差があるため、その分析は困難されてきた。1980年代からクリーン採水技術の進歩、分析装置の進歩に伴う検出限界濃度の向上、脱塩と濃縮操作の進歩に伴い確からしい分析値が報告されるようになった。ここでは3つの分子種で存在するセレン、GEOTRACES研究計画のキーパラメータのアルミニウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、カドミウム、鉛の海洋における分布とその支配する要因に関して述べる。