主催: 日本地球化学会年会要旨集
会議名: 2025年度日本地球化学会第72回年会講演要旨集
回次: 72
開催日: 2025/09/07 - 2025/09/19
p. 74-
暁新世/始新世温暖化イベント(以下PETM)は,約5600万年前に起きた急激な温暖化イベントである.炭素同位体比が短期間のうちに約3 ‰低下し,海洋表層水と深層水の炭素同位体比の差がほとんどなくなったことが明らかになっている.この急激な温暖化と炭素同位体比の低下は,メタンハイドレートの分解で軽い炭素が大気海洋系に流入したことによって起きたと考えられている.しかしながら,PETMにおける炭素同位体比の鉛直構造の変化に着目し,当時の海洋生物化学循環の変動は定量的にほとんど理解されていない.そこで本研究では,炭素同位体比の負異常と鉛直構造の変化に着目し,鉛直一次元海洋モデルを用いて,PETMにおける海洋生物化学循環の変動を定量的に検討した.その結果,メタンが従来の想定よりも短期間に流入し,かつ海洋循環がPETM直前よりも停滞していたはずであることが示された.