ASTERとLandsatによる計40シーンの衛星画像データを用い,塩類集積土壌域の空間分布とその時間変化を詳細に抽出できる手法について検討し,これをタリム盆地北部のオアシス周辺に適用した.まず,衛星画像データの反射スペクトル情報から,植生の活性度,表土の性質,および土壌の含水の程度に対する正規化指標SAVI,NDSI,NDWIを計算し,これらの大小関係を同時に表せるNDXI画像を提案した.2004年のASTERデ-タからNDXI画像を作成した結果,雨期では塩類集積土壌が雨水と混合するので塩類集積土壌の分布域は特定できないが,乾期(夏季)になれば植生の分布域・活性度の時間的変化は小さくなり,塩類集積土壌の分布が顕著になることがわかった.このNDXI画像によれば土壌水分量の大小によって塩類集積のメカニズムが異なることが示された.次に,LandsatとASTERのNDXI画像を最尤法によって分類した結果,固定砂丘の変化が最も大きく,面積が半減し,この多くが農地を含む植生域と塩類集積土壌の面積の単調増加に寄与していることがわかった.さらに,土壌サンプルに対して測定された反射スペクトルと塩分濃度から,反射率と塩分濃度との相関性に対する1次回帰式を求め,これを塩分指標(SI)と定義した.衛星画像にSIを適用した結果,2003年になると塩分濃度が全体的に増加し,塩類集積土壌の大部分は30 ppt以上の高濃度であり,流動砂域も塩分濃度が高い状態にあることが明らかになった.