情報地質
Online ISSN : 1347-541X
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21 巻, 1 号
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  • 花井 健太, 横田 修一郎
    2010 年 21 巻 1 号 p. 3-17
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/14
    ジャーナル フリー
     航空レーザ・スキャナによる高精度DEMをもとに,斜面崩壊跡を自動的に抽出することを試みた.地形の傾斜変換部の存在と形状に着目して3つの識別条件を設定した.凹地形の存在,外縁部の段差地形,その円弧状形状である.識別に際し,DEMの標高を2階微分したラプラシアン値をあらかじめ算出し,傾斜急変部抽出の基礎データとした.傾斜変換部の円弧状の判定には,画像解析手法のひとつであるスリット法の適用を試み,効果的に処理することができた.自動的に抽出された崩壊跡地形は同一DEMによる等高線でみる限り,妥当なものと判断された.  抽出できなかったケースの原因として,DEM精度と手法の問題が挙げられる.それらの検討結果をもとにすれば,さらに抽出精度を高められる見通しを得た.ここで示した手法は,植生下の地形情報に基づき機械的に抽出できることから,客観性が高く,場合によっては空中写真よりも有効と考えられる.
  • 衛星データによる塩類集積土壌の時空間変化の解析
    阿依仙姑 瓦依提, 小池 克明, 石山 隆
    2010 年 21 巻 1 号 p. 19-33
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/07/14
    ジャーナル フリー
     ASTERとLandsatによる計40シーンの衛星画像データを用い,塩類集積土壌域の空間分布とその時間変化を詳細に抽出できる手法について検討し,これをタリム盆地北部のオアシス周辺に適用した.まず,衛星画像データの反射スペクトル情報から,植生の活性度,表土の性質,および土壌の含水の程度に対する正規化指標SAVI,NDSI,NDWIを計算し,これらの大小関係を同時に表せるNDXI画像を提案した.2004年のASTERデ-タからNDXI画像を作成した結果,雨期では塩類集積土壌が雨水と混合するので塩類集積土壌の分布域は特定できないが,乾期(夏季)になれば植生の分布域・活性度の時間的変化は小さくなり,塩類集積土壌の分布が顕著になることがわかった.このNDXI画像によれば土壌水分量の大小によって塩類集積のメカニズムが異なることが示された.次に,LandsatとASTERのNDXI画像を最尤法によって分類した結果,固定砂丘の変化が最も大きく,面積が半減し,この多くが農地を含む植生域と塩類集積土壌の面積の単調増加に寄与していることがわかった.さらに,土壌サンプルに対して測定された反射スペクトルと塩分濃度から,反射率と塩分濃度との相関性に対する1次回帰式を求め,これを塩分指標(SI)と定義した.衛星画像にSIを適用した結果,2003年になると塩分濃度が全体的に増加し,塩類集積土壌の大部分は30 ppt以上の高濃度であり,流動砂域も塩分濃度が高い状態にあることが明らかになった.
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