抄録
メコンデルタのハウ川の南側川岸に位置するベトナムのカントー市で都市の変化を検出する研究を実施した.1972 年から2007 年までの多時期の衛星画像を用いて,カントー市の異なる期間の間の都市進化を把握するために,都市空間拡大と都市開発の時間変化の傾向を明らかにした.都市地域の判断には植生・土壌・水(VSW)指数を応用した.土地被覆分類の確度を向上させるために正規化植生指標(NDVI)も適用した.サポートベクターマシン(SVM)に基づく土地被覆分類法が,Huang(2002)やShafri et al.(2009)などの従来の研究で用いられたディシジョンツリー(DT)法よりもよい結果を得ることがわかった.
南東,南西方向に沿った迅速な都市の拡大が続く最近10 年の間は,北西地域がカントー市の都市拡大の主な方向であることがわかった.より新しい都市化地域は経済的に重要になると考えられ,速くてより良い社会的,経済的,および環境的な計画が要求されることをこの結果は示唆する.さらに,中央地区は地方の地区に比べ,人口密度が7 から19 倍大きいという結果が得られた.タイ,カンボジア,およびマレーシアと非常に近接するために,キエンザン地域で国際貿易や観光旅行のための多くの機会を提供するために,西の方向の計画された都市化が促進される必要がある.一方,高い都市化を示しているカントー市の中心地域は,雨季の洪水の危険と環境の悪化に直面する可能性がある.また,高分解能衛星画像を用いたカントー市郊外での洪水のより良い管理のための計測も緊急に評価する必要がある.本研究の結果は2020 年ころまでにメコンデルタの経済的なハブとなる態勢にある拡張の中心として速く発展するカントー市の都市化開発に関係する計画と意思決定に有効であると考える.