情報地質
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システム・ソフトウエア開発
二次利用を目的とした地盤情報データベースの構築
中田 文雄田中 義人北村 良介酒匂 一成伊藤 真一
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2019 年 30 巻 4 号 p. 237-251

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抄録

鹿児島大学・酒匂研究室では,利用者限定の「鹿児島版地盤情報データベースシステム(K-DBS)」を構築して運用している.本文作成段階で12,000本以上のボーリング交換用データに加え,様々な土質試験結果データなどの地盤情報が登録されている.K-DBSは,鹿児島平野などの地盤モデルの作成,あるいは「地圏シミュレータ」に代表される地盤解析シミュレーションの入力用地盤情報を収集・整理するために利用される機会が多い.地層の堆積環境を推定するために極めて重要な情報が観察記事として記載されていることが多いため,K-DBSの構築にあたり地質名(工学的地質区分名現場土質名)及び観察記事を対象とする文字検索が可能なように設計した.利用者が地盤解析などを実施する場合に,ボーリングデータなどのソースデータを必要とするため,K-DBSではソースデータをダウンロードできる機能を有している. 筆者等は「メッシュ管理型の地盤情報データベース(K-MDBS)」を試作した.これは,K-DBSの検索機能により利用者の手元に集めたボーリングデータを二次利用した成果である.メッシュ管理型であるため,ポイントデータであるボーリングとは異なって,建設主である事業者名と詳細な掘削位置を不鮮明にすることができる.ボーリングの数が最も多いと想定されるビルや工場などの非公開ボーリングを収集できる可能性が広がる.収集量が増えると言うことは,地層境界面を推定する際に発生する外挿誤差の縮減が期待でき,結果的に三次元地盤モデルの精度向上も期待できよう.

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© 2019 日本情報地質学会
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