情報地質
Online ISSN : 1347-541X
Print ISSN : 0388-502X
ISSN-L : 0388-502X
総説
点サンプルデータの空間モデリング法の展開と 地球科学・工学への応用
小池 克明
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 30 巻 4 号 p. 209-236

詳細
抄録

地質関連データは主として点データであり,対象領域の大きさに比べて限られた数の測点が離散的,不規則に分布する.地質学,応用地質学の分野では地質構造,物性分布,鉱石の品位分布,石油・地熱貯留層の形態などを高分解能,かつ広範囲で推定することが求められており,不規則配置のデータから真の分布をいかに正確に再現できるか,という空間モデリングはますます重要な課題になってきている.本稿では空間モデリング法をスプライン型,地球統計学,ニューラルネットワーク型に分類し,各手法の原理と最近の応用,発展の一例についてレビューした.特に補助情報を利用しての推定精度の向上,亀裂などの方向要素データや岩相分布で不可欠となるカテゴリーデータへの適用拡張,マルチスケールモデリングや異なったスケールへの分解,ベイズの定理に基づく逆問題への共分散構造の応用,時空間多変量データへの適用,および2点から多点統計学への拡張に注目し,これらに適した手法についてまとめ,さらに空間モデリングの結果から地球科学・工学的に新しい知見が得られた例をもとに,手法の有用性を実証した.今後の課題の一例としては,物理・化学法則,地質プロセス,地球統計学的性質の3つを組み合わせた空間モデリング,大規模データセットとグロ-バルスケールへの応用,マルチスケールと不均質構造の考慮の深化をかかげ,これらに関する予察的な結果と試案について述べた.

著者関連情報
© 2019 日本情報地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top