情報地質
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論理地質学的にみた地層累重の法則の論理構造
塩野 清治弘原海 清
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1991 年 2 巻 1 号 p. 9-22

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抄録
論理地質学の目指す論理体系の基本モデルとして「地層累重の法則」の論理構造を研究した.実空間の部分集合Aから地層名の集合Bへの全射fが存在するという仮定のもとに, B上の新旧関係を表す関係Kや累重関係を表す関係C, Lを厳密に定義した.aKb: abより古い, aCb: abのすぐ下側にある, aLb: abの下位にある.関係K, Lは次のような半順序としての性質をもつ.
KK-1=O (条件J1) はつねに成り立ち, KE=KEは半順序である.もし, KEKE-1=I (条件J2) が成り立てば, KEは全順序となり, 地層の形成順序が定まる.一方, LL-1=O (条件J3) が成り立つとき, LE=LEは半順序となり, さらに, LELE-1=I (条件J4) も成り立てばLEは全順序となり層序が確定する.「地層累重の法則」はCからK (CK) を推定する法則であり, 次のような法則として矛盾なく定式化できる:
LL-1=OCKおよびLL-1=OLK.
このような研究を進めることによって, 地質学の論理構造が明確になり, われわれの地質学に対する理解が深化するだけでなく, 多様な地質情報のコンピュータ処理法の開発に役立つことが期待される.
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© 日本情報地質学会
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