情報地質
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地質学的探査のための知識表現
呉 宣志史 大年
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1991 年 2 巻 2 号 p. 137-145

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抄録
地質学的探査における実用的エキスパートシステムを構築するためには, 専門家の知識をいかに表現するかが重要な課題である.専門家の知識における不確実さを定量化する従来の試みとして, マイシンの確信度, ファジイ集合論, プロスペクターの準確率的表現, デンプスター・シャファー論の信頼関数がある.本研究では, これらの単一推論モデルの代わりに, 合成・不確実・推論モデルという概念を導入した.その結果, 知識のネットワーク (Fig.1) に対し, 式 (1) から式 (11) に示す理論展開を行う [C (H|Ei) あるいはC (H|EiEj) は事実としてEiあるいはEiEjが存在するときHであることの確認因子を, P (H) はHが起きる確率を表す] ことにより, C (H|Ei) とC (H|EiEj) の関係が得られる (Fig.2) .以上の考え方を風化残留型鉱床の生成に適した気候の評価問題に適用した (Fig.3) , このときの評価で考慮した事実は, 植生の発達度 (VD) , 土壌の型 (ST) , 年平均降雨量 (AAR) , 年平均温度 (AAT) , 緯度 (LAT) である (Fig.4) .今回の事例研究では, 以上の事実が適正気候を示唆する場合の確認因子の値を, 専門家から聞く (Table1) とともに, それらが従属関係にある場合と独立関係にある場合について計算し (Table2) , 最後にある事実の確認因子の値が他の事実が存在するときどの程度減少するかを求めた (Table3) .
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© 日本情報地質学会
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