地質学雑誌
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論説
RIPL法により由布岳火山周辺のテフリックレスから見いだした火山活動
古澤 明
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2004 年 110 巻 1 号 p. 19-37

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抄録
由布岳火山周辺のテフリックレスからRIPL法を用いて周辺火山の活動履歴の識別を試みた. RIPL法とは, 地層中に含まれるテフラ起源とおぼしき火山ガラス, 斜方輝石および角閃石などの屈折率を数cm間隔で連続的に採取した試料全てにおいて測定する手法である. その結果, テフリックレスは野外で識別できなかった12層準のEvent horizonに区分され, それらをテフラとして新たに識別できた. Event horizon4はガラス質テフラでこれまでに知られていない九重火山起源のテフラである可能性がある. Event horizon9は, 火山ガラスの屈折率, 形態および斜方輝石, 角閃石の屈折率などの一致から九重火山の白丹火砕流堆積物と阿蘇火山起源のACP4との混交層準であると考えられる. Event horizon11は鬼箕山火山起源のテフラである可能性が高い. テフラの降灰主軸からはずれた地点においてRIPL法をテフリックレスに適用した場合, 火山活動履歴の把握精度の向上が期待できる.
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© 2004 日本地質学会
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