地質学雑誌
Online ISSN : 1349-9963
Print ISSN : 0016-7630
ISSN-L : 0016-7630
論説
飛騨外縁帯のシルル系・デボン系放散虫生層序
栗原 敏之
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 110 巻 10 号 p. 620-639

詳細
抄録

飛騨外縁帯の福地—一重ヶ根地域と九頭竜湖—伊勢川上流地域に露出する凝灰質砕屑岩相のシルル系・デボン系において放散虫生層序の検討を行った. 7つの主要なセクションで認められた放散虫化石群集に基づき, 下部シルル系ランドベリー統から下部デボン系エムス階に対比される計8つの群集帯を設定し, 飛騨外縁帯のシルル系・デボン系凝灰質砕屑岩層の時代を詳細に議論した. 従来, 飛騨外縁帯と黒瀬川帯・南部北上帯のシルル系・デボン系は, 凝灰質砕屑岩層の堆積年代やシルル系石灰岩層の有無等, 相違点が強調されてきた. しかし, 放散虫化石帯に基づく対比から, 後期シルル紀ラドロウ世から前期デボン紀エムス期の凝灰質砕屑岩層は, その発達状況において高い類似性があることが明らかになった. この類似性は, 3地帯のシルル系・デボン系が形成時において深く関連していたことを示す.

著者関連情報
© 2004 日本地質学会
前の記事 次の記事
feedback
Top