地質学雑誌
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論説
美濃帯東部に分布するジュラ紀新世—白亜紀古世付加体: 味噌川コンプレックスにおける放散虫化石年代と覆瓦構造
首藤 拓郎大塚 勉
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2004 年 110 巻 2 号 p. 67-84

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抄録
味噌川コンプレックスは, チャートや珪質泥岩からなるチャート優勢のユニットと, 砂岩および泥岩からなる砂岩優勢のユニットによって構成され, 様々な程度の変形を示す地質体である. チャート優勢ユニットには, チャート—砕屑岩シーケンスの覆瓦構造が存在する. 放散虫化石年代によれば, 味噌川コンプレックスを形成した海洋プレートの最終的な海溝到達年代はジュラ紀新世であり, 海溝での堆積は白亜紀最前期に及ぶ可能性がある. 味噌川コンプレックスとその構造的上位の沢渡コンプレックスを通して見出される海溝到達年代の構造的下位への若化傾向は, 両者がジュラ紀からジュラ紀最末期ないし白亜紀最前期にかけての連続的な沈み込み付加作用によって形成された可能性があることを示唆している. 岩相・構造・年代の特徴に基づくと, 八溝山地の高取ユニットおよび笠間ユニット, 美濃帯西部の上麻生ユニットの南部は, 味噌川コンプレックスに対比される.
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© 2004 日本地質学会
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