地質学雑誌
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論説
中新統士岐口陶土層の堆積過程と産出する大型植物化石の水理的挙動—岐阜県多治見市大洞地区の例—
中嶋 雅宏中山 勝博百原 新塚腰 実
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2004 年 110 巻 4 号 p. 204-221

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抄録

岐阜県多治見市大洞地区の中新統土岐口陶土層の堆積相を調査し, そこに含まれる植物化石の組成, 堆積構造, 堆積物の粒度組成を調べた. ここでは, 10堆積相が認定でき, 湖沼・湿地に近接した網状河川システムが復元された. このことから, 砂・泥の卓越する河川~湖沼・湿地の堆積環境が, 東海層群下部の陶土層の堆積盆地に共通していることが明らかになった. さらに, 大型植物化石の産状から, 植物片の運搬・堆積過程について考察した. 1) 洪水流堆積物中の大型植物化石には, ベッドロードとして堆積するものと, 浮遊沈降して堆積するものが存在すること, 2) 両者の違いは, 植物片の大きさ, 細毛表面といった形態の違いに左右されること, 3) 植物化石は, 水理学的淘汰を受けて堆積したこと, 4) 洪水流堆積物は3タイプに区別でき, 植物化石をもとに, それぞれの洪水流の水理環境を推定できること, が明らかになった.

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© 2004 日本地質学会
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