地質学雑誌
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論説
房総半島中新統嶺岡層群八丁層および佐久間層群から産出した砕屑性クロムスピネル
奥澤 康一久田 健一郎
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2004 年 110 巻 4 号 p. 237-243

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抄録

房総半島南部の下部中新統嶺岡層群八丁層および中部中新統佐久間層群から, 砕屑性クロムスピネルが新たに発見された. 両層群から得られた砕屑性クロムスピネルは, 化学組成の傾向が互いに似ており, それぞれ低Tiグループ (TiO2 < 1 wt%) と高Tiグループ (TiO2 > 1 wt%) に区分される. 低Tiグループのクロムスピネルの大部分は, 嶺岡型蛇紋岩に含まれるものと化学組成が類似しており, さらに, 背弧海盆かんらん岩起源であると考えられる. しかし, 一部の低Tiグループは嶺岡型蛇紋岩に含まれるものよりもCr#が高く, 前弧域のかんらん岩もしくはボニナイトから供給された可能性がある. 高Tiグループのクロムスピネルは, 嶺岡帯, 葉山帯, 小仏帯, 瀬戸川帯に分布するアルカリ玄武岩もしくはピクライト玄武岩に含まれるものとその化学組成が類似している. これらの砕屑性クロムスピネルの産出は, 嶺岡帯のオフィオリティックな岩石が, 前期中新世もしくはそれ以前に定置したことを示している.

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© 2004 日本地質学会
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