2005 年 111 巻 11 号 p. 717-724
アジアの大河川は,その成因,分布,変遷において,ヒマラヤとチベット高原の隆起の影響を強く受けてきた.これらの大河川がつくるデルタは,完新世において広大なデルタ平野を形成しつつ,陸棚域を前進してきている.デルタの成長に最も影響を及ぼしているのは,完新世の海水準変動であり,海水準上昇期の累重型のデルタから海水準安定期の前進型のデルタに,また内湾域から陸棚域にデルタが前進することによって,より波浪の影響を受けるように進展してきた.アジアに分布するさまざまなデルタは,このようなデルタ成長モデルの中に位置づけることが可能であり,異なった発達段階のデルタをみることができる.