抄録
山陰中央部の出雲市南方から米子市南方にかけての東西約60 km,南北約40 kmの範囲にまとまって分布する白亜紀~古第三紀貫入岩類からなる複成バソリスを構成する貫入岩およびそれに随伴する火山岩のRb-Srアイソクロン年代を系統的に求めた.このバソリスは75 Ma前後から50 Maまでの約2500万年間のマグマ活動によって大枠が形成され,その後古第三紀後期の小規模なストックの貫入により完成した.山陰帯における白亜紀~古第三紀火成活動は,今回求めた年代や既報年代,地質学的相互関係から,~78 Maの年代を示す後期白亜紀火山岩類と用瀬期貫入岩類,75-50 Maの年代を示す因美期貫入岩類と同時期の火山岩類および44-30 Maを示す田万川期火山岩類・田万川期貫入岩類に区分される.因美期貫入岩類と田万川期貫入岩類の活動の間には600万年の休止期が認められる.